「自分には何も価値がない」
そう思ったことはありませんか?
僕はよくあります。
特に、ブログやTwitterといったSNSを頑張るほどに、「自分の価値の無さ」や「何者でもない自分」にうんざりすることがあります。
「価値を生み出さなきゃ!」「何か実績を作らなきゃ!」
そう思って行動しなくてはいけないことはわかるのですが、
そもそも「価値ってなんだろう?」と思い悩み、手足が止まりました。
自分にはどんな価値があるのだろう?
世の中にはどんな価値が求められているのだろう?
それを見つけるための本質的な考え方が、この本には書かれています。
ネットやSNSが浸透した現代は、あらゆるものが市場で取引できるようになりました。
日々、数え切れないほどの「価値」が生み出され、
もともとあった「価値」は大きく変動しています。
だからこそ、「価値」を鋭く捉え続けるには、本質的を理解する必要があります。
むしろ、「価値」を見つけることができなければ、見当違いの方向に努力を重ねる恐れがあります。
足元にたくさんの「価値」が転がっているのに、気づかない恐れがあります。
「恐れ」と書きましたが、自分自身に起こると想像すると、本当に恐いことです。
この本では、価値の本質をとらえるスキルを「マーケット感覚」と定義し、
マーケット感覚がなぜ必要なのか。
マーケット感覚はどうしたら身につけられるのか。
この内容について、深く、かつ具体的に書かれています。
少し話が逸れますが、僕はこの本を3年前に読みました。
3年前はあまり心に残らなかったのですが、
ブログとTwitterを始めた今では、この内容がグサグサと胸に突き刺さっています。
通常、薄っぺらい実用書やビジネス書なら数年で忘れてしまいます。
この本はその逆で、5年も前に書かれたのに古くなるどころか、いっそう強いメッセージとして突き刺さってきます。
すごい!!
こんな体験は初めてでした。
きっと「未来の本質」を的確に突いているからなのでしょう。
では、どんな内容が書かれているのか、部分的にご紹介します。
(それなりの内容を紹介していますが、この本にはもっともっと多くの事例と、深い深い考察が書かれています!)
◇ ◇ ◇
目次
1. 競合相手は何か?を本質的に理解する
ANAの競合相手は何でしょうか?
冒頭からそんな問いを投げかけられます。
あなたはわかりますか?
JAL?LCL?他の航空会社?新幹線?
普通はそう思うかもしれませんが、「マーケット感覚」があれば他にもたくさん見えてきます。
「JALの利用者は何を求めているのか」を想像するんです。
「移動して、何をしたがっているのか」を考えるんです。
- 移動して、集まって、会議がしたい ➡ Web会議システム
- 移動して、旅行先で、美味しいものを食べたい ➡ グルメのネット通販
気づきましたか!?
航空機や新幹線の競合として、2015年の時点で「Web会議」を挙げているんです。
コロナ禍の今現在、まさに起きている現象ですね。
この驚きは、Twitterでも多く取り上げられていました。
マーケット感覚によって価値の本質をとらえれば、未来も予測できるという素晴らしい実例です。
2. お米とスイカ
それぞれ「食べ物としての価値」がありますが、本当の価値は全然違います。
- お米は、「無くてはならない主食という価値」
- スイカは、「食事を彩るデザートという価値」
したがって、不作などで供給が減って高騰した場合、
お米はそれでも売れますが、スイカは誰も買わなくなります。
今現在同じように買われていたとしても、状況が少し変わると影響は劇的です。
その分かれ道は「本当の価値」なんですね。
物が、サービスが、どのような「本当の価値」を提供しているのか?
そこを鋭く捉えることもまた、「マーケット感覚」によるものと書かれています。
3. 市場化の波と、価値の変化
昔は、学生の就活はコネ入社、婚活はお見合い、というスタイルが普通でした。
今現在はネットやサービスが普及したことによって、さまざまな就活スタイル、婚活スタイルがあります。
学生は、日本中の企業に面接を申し込むことができるようになったし、
婚活している人は婚活サービスを通じて、多くの人に自分を見てもらえるようになりました。
これを「市場化」と言います。
市場化すると、価値が変化します。
たくさんのものと比較されるようになるので、
- めちゃくちゃ良いもの
- 個性のあるもの
- 一般的には良くなくても、とある個人にはグッと刺さるもの
が評価されるようになります。
多様性といえばそれまでですが、「価値が変わった、新たな価値が生まれた」とも言えます。
昔の価値観にとらわれていると、すでに変わってしまった価値を見抜けなくなるから要注意ですね。
4. 価値さえあれば、まだ名称がなくてもサービスになる
昔は「車」とか「宿」とか「教育」といった、分かりやすいものが価値として取引されていました。
しかし現在では、そんな単純に表せないようなものも、価値として取引されています。
- 人を応援したりサポートするという価値(いわゆるコーチングビジネス)
- センスの良いひとに選んでもらうという価値(いわゆるパーソナルアドバイザー)
この本では「人の話をただ聞いてあげるだけという価値もあるかもね」と2015年に書かれてありましたが、
まさに2020年7月にそのサービス(クマレル)が始まりました。
Web会議のことと言い、未来を当てすぎです笑
どんなことをすれば、人は価値を感じてくれるのか?
既存の製品やサービスにとらわれず、考え続けることが大切のようです。
5. 価値を高く評価してくれる市場はどこ?
コミュニケーションに自信がある20代さわやかイケメンでも、
年収が低ければ婚活サービスの条件入力で足切りにされたり、底辺ランクとしてみなされます。
また、本人にとって普通の感覚なのでしょうが、同年代の女性を望もうものならもうダメです。
なぜなら、婚活サービスでの20代女性は競争率が高いし、
婚活サービスに登録している20代女性はよりハイスペックな相手を探しているからです。
つまり、この男性は婚活サービスなんて使わずに、街コンや合コン、ナンパをすればもっと簡単に素敵な女性と巡り合うことができる、というお話が紹介されています。
価値を見つけたのなら「それを高く評価してくれる市場」もセットで見つけないとダメということですね。
市場が悪ければ、素敵な価値を持っていようとも、いくら頑張っても報われないことになります。
努力が報われない話はとても怖い・・・。
「マーケット感覚」は本当に必要だと感じました。
6. プロの高い技術だけが価値ではない
プロ野球では「高い技術や手に汗にぎるパフォーマンスという価値」が提供され、チケットが売買されます。
一方、高校野球の提供する価値は違うんです。
「全力で戦っても時の運え負ける理不尽さ、技術力が低くても努力と根性でがんばるひたむきさを見せるという価値」が提供され、甲子園という莫大な市場が動いている、というお話。
「プロの高い技術」だけに価値があるのではない。
そこに求められている価値を理解し、それとは違う価値を提供できれば、
たとえ技術が低くとも価値を生み出せるということですね。
自分も含めて、技術力も実績もない人にとっては、何度も噛みしめるべき言葉だと思います。
7. マーケット感覚を鍛える方法
本書には5つ書かれていますが、特に心に響いた2つだけ、さらっとご紹介します。
① 問題解決に「インセンティブシステム」を利用する。「規制脳」にはならない。
インセンティブとは、「馬の前に吊り下げられたニンジン」のこと。
インセンティブシステムとは、「馬の前にニンジンを吊り下げれば、馬は自然と走りはじめるという仕組み」のことです。
鞭を打たなくても、「馬自身の欲求によって」走らせることができる点がポイント。
もう一つ、分かりやすい具体例が書かれていました。
例えば、社員の遅刻を減らしたい社長がいたとします。
この問題解決には二通りのアプローチがあります。
一つは「規制」によって解決しようとする「規制脳」くん。
このタイプは、「遅刻した人は減給にする」という方法で遅刻を減らそうとします。
すると、社員は縛られている気持ちが強くなり、モチベーションが低下します。
もう一つは「インセンティブシステム」によって解決しようとする「市場脳」さん。
このタイプは、「朝7時までに出社したらヘルシー朝食を無料で提供する」と考えます。
すると、社員は意欲的に早く出社し、かつモチベーションも上がります。
どちらも同じ問題を解決しているのに、その後の影響が正反対になる。
これは本当に素敵なことです。
特に日本人は、ついつい「規制脳」の考え方をしがちなので、僕もよく注意しなくては。
理想論を押し付けるのではなく、インセンティブを理解し、利用する。
副業やブログに関係なく普段の仕事においても、すぐにでも活用したいです!
②作り込むより、とりあえずやってみる
本書にこう書かれていて、僕はドキっとしました。
ブログでも副業でも、多くのインフルエンサーから同じようなことが言われているからです。
しかし著者のちきりんさんは、その理由を経験論などからではなく、市場化の背景から論理的に説明しています。
市場化される以前は、大手企業の担当者の意向に沿っていれば商品は売れました。
しかし、市場化されると商品を評価する人は多岐にわたります。
自分には思いもよらなかった人が、思いもよらない理由で買うこともあります。
それは、商品を出してみないと誰もわかりません。
商品を世に出して、市場の反応を見て、修正していく。
また、価値はすぐに変化していくので、何年も作り込んでいたら時代遅れになります。
だから、「作り込むより、とりあえずやってみること」が大切です。
精神論でも経験論でもなく、市場化している現在だからこそ、このやり方が大切ということです。
僕はとっても納得しました。
あなたはどうですか?
◇ ◇ ◇
それなりに内容を書いたように思われるかもしれませんが、
実際は本書全体の1/5程度、上辺をさらった程度です。
本書にはもっと多くの事例と、より深い考察・洞察が書かれています。
「マーケット感覚を鍛える方法」もまだ3つもありますしね。
<この記事の内容>
- 競合相手は何か?を本質的に理解する
- お米とスイカ
- 市場化の波と、価値の変化
- 価値さえあれば、まだ名称がなくてもサービスになる
- 価値を高く評価してくれる市場はどこか?
- プロの高い技術だけが価値ではない
- マーケット感覚を鍛える方法
冒頭でも言いましたが、
この本は本当に不思議で、時代が進むほどに重要性が増してきます。
だから、5年前の本などと思うなかれ!
ぜひぜひ、購入して、熟読して、実行すれば、
きっと「マーケット感覚」が鍛えられ、
目の前に転がっている多くの「価値」を見つけられるようになると思います。
僕はそのようにこれから行動していきます。
「自分には何にも価値がない」
「自分は何者でもない」
そう悩んでいる僕のような人には、ぜひとも読んでいただきたい素敵な本でした。
この記事は以上です。
ありがとうございました。
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