詩吟

音痴の友達をたった1日で治した話

こんにちは、heyheyです。

 

音痴ってツラいですよね。

 

自分は正しいと思って歌っていても、

合唱とかで周りの人と合わせたときに

「あなたはズレている!」

って言われると、自信を無くしますよね。

 

自信が無くなっていく。

周りの人やグループに迷惑をかけてしまう。

そんな気持ちが重なって、

歌うことがますますツラくなっていく。

 

「音痴」というのは

漢字で表すとたった2文字ですが、

本人にとっては深く大きな問題になりやすいです。

 

僕がゴスペルサークルに所属していたとき、

仲のいい後輩がまさにそんな状態でした。

 

本人は楽しく歌いたいのに、

周りの仲間とも普段は仲が良いのに、

一緒に歌った瞬間、イヤな顔をされてしまう。

 

今回は、そんな後輩の音痴を1日で治したお話です

もちろん、音痴にも色んな種類があります。

人によって程度の差もあります。

 

ですが、

こんな事例もあるんだよ、

こんな簡単な方法でも治るんだよ、

ということをご紹介し、

少しでも音痴への悩みが軽くなれば幸いです。

 

◇ ◇ ◇

 

プロフィールにも書いてありますが、

僕は詩吟歴が20年以上、

奥伝の資格を持ち、

詩吟では全国大会の優勝経験もあります。

 

また、詩吟とは文化が全く違いますが

ゴスペルの経験も10年以上あり、

リードボーカルも何度かさせてもらっています。

 

このお話の頃の僕はというと、

ゴスペル歴はまだ2年程度でしたが、

詩吟は10年以上のキャリアがあったので、

その経験から後輩の音痴を一緒に治す手伝いをしました。

 

 

1. 音痴の症状

彼は20代前半の男性で、もともと声が低い方でした。

ゴスペルは男性パートでも高い声が出すことが多く、

これに苦労していることもありました。

 

しかしそれ以上に、

大きく外れた音程で声を出してしまうことに

本人も、周りの人も問題視していました。

 

もう少し具体的に話すと、

曲の始めの方はまだ音が外れていません。

キーはまだ低めだし、皆と一緒に歌っているからです。

 

しかし、サビの高い音を一度経由すると、

すぐ音が迷子になります。

 

高い音がとても出にくいので、

まずそこで音が取れなくなります。

すると、音の基準を見失ってしまい、

音の低いフレーズに戻っても、

正しい音を取ることができなくなってしまうんです。

 

と、ここまで詳しく話すと

少し原因が見えて来るんですが、

歌える人たちからするとそれが理解できないため、

「なんで音が外れてるの?」

「もっとよく音を聞いて!」

としか言われないんですよね。

 

本人も音痴になりたくてなっているわけではないから、

結局どうすればいいのかわからないまま、

不安だけが積もっていくようになります。

 

 

2. 音痴改善レッスン①:音感チェック

彼は歌に自信がなくなり、

サークルを辞めたいとまで言うようになりました。

そこで、僕と一緒に音痴を治すレッスンをすることにしました。

といっても、たった1日だけです。

 

彼を僕の部屋に呼び、

キーボードと、

詩吟用のコンダクターを用意しました。

(コンダクターとは詩吟の陰音階を弾きやすくした

専用のキーボードのようなものです)

 

コンダクターの素晴らしいところは、

1/2音、1/4音が出せるところです。

1音とは「ド」と「レ」の間の音の距離のこと。

1/2音は1音の半分のこと。

1/4音は1/2音のさらに半分の音程のことです。

つまり、ごくわずかな音の変化のことで、

楽譜で表すことはできません。

 

「この人の歌声、ちょっと暗いな」と感じたら、

1/4~1/8音低くなっている場合が大半です。

「この人、音程あやしくない?」と感じたら、

1/2~1/4音ズレている可能性が高いです。

そんなわずかな違いです。

 

と、急に専門的なややこしい話をしてしまいましたが、

つまりは彼の音感を確かめることにコンダクターを使いました。

音感を確かめるとは、

「二つの音のうち、どちらが高い/低いを認識できるか」

ということです。

 

ドとレならドの方が低いですよね。

レとファならレの方が低いです。

じゃあレと、レ+1/2音なら?

ミとミ+1/4音なら?

 

このレベルはさすがに難しいですが、

歌う上では1~1/2音単位の高い/低いが認識できれば十分です。

 

このテストの結果、

彼は1/2音までなら問題なく認識できることが分かりました。

 

つまり、耳の問題じゃないんです。

「音痴=耳が悪い」

と思われがちですが、そうでは無いんですね。

ここは大事なポイントです。

ということで、次のチェックを行いました。

 

 

3. 音痴改善レッスン②:高音を歌う

次は彼の苦手な高音のフレーズを歌ってもらいました。

すると、やはり音を外しました。

出ないわけではなく、音を上に外しています。

全然当たっていません。

 

音感を備えているはずなのになぜ?と思いますよね。

何度か歌わせているうちに、本当の原因が分かってきました。

 

彼は

「このフレーズは自分にとってめちゃくちゃ高い音だから、思いっきり音を上げないといけない!」

と思い込んでいたんです。

 

この「思い込み」が音痴の大きな原因です。

 

説明しやすくするために

「正しい音で歌う=野球でヒットを打つ」

と例えるとします。

 

彼の場合、サビの高い音を正しく出すため、

本来ならば軽めにバットを振るくらいで良いのに、

思い込みによってフルスイングしていたんです。

 

結果、声帯のコントロールが効かなくなり、

音を外した(=バットがボールに当たらなかった)というわけです。

 

この問題の怖いところは、

一度声帯のコントロールを失うと、

その後も続いてしまう、という点です。

 

正しい音を見失ってしまったことと、

声帯が落ち着いてくれないことが原因です。

 

 

4. 音痴改善レッスン③:自分の声を認識させる

原因が分かってきたので、

次はいよいよ対処法です。

 

それは「自分の声を認識させる」ことです。

彼が声帯をコントロールできないのは、

自分の声をまだちゃんと認識できてないからです。

 

バットの重さやサイズ、長さがよく分かっていないから、

不安のあまりフルスイングしてしまうんです。

だから、バット(=自分の声)をよく認識しましょうという話です。

 

あなたは自分の歌った声を録音して聞いたことがありますか?

「歌いながら聞いた自分の声」と、

「録音した自分の声」が同じように聞こえていますか?

 

おそらく大半の人は全然違うように聞こえているはずです。

なぜなら、自分の体から響いた音を直に聞くのと、

録音機を前にして聞こえてくるのでは

音の響き方や受け取り方が違うからです。

 

だから、そのギャップをできるだけ小さくしていきましょう。

方法はとっても簡単です。

 

歌ってみて、

録音して、

それを聞いてみる。

これを何度も繰り返すんです。

 

今回は、録音した音を彼と一緒に聞きながら、

キーボードで本来の音も弾いて聞かせました。

そして彼に聞くんです。

「録音機から聞いた君のこの音と、キーボードの音、どっちが高い?」

 

これを、何度も何度も繰り返します。

彼はもともと2つの音の高い/低いを認識することはできていました。

だから、彼自身の声であろうと、

客観的に聞かせさえすれば、

音のズレ具合を認識することができるんですね。

 

「今のところは高すぎたと思う」

「ここは本来より低くなっていると思う」

彼に何度も答えさせます。

 

そして、

「じゃあ、そこを認識した上でもう一度歌ってみよう!」

と歌わせるんです。

 

こうして、本来の音に対してズレていた彼の声を

少しずつチューニングしていきます。

そして本来の音と一緒になったら完了です。

 

この作業は、時間にして2~3時間くらいで終わりました。

結果、この歌に関しては、彼は音を外さなくなりました。

他の歌に関しては、初見では音程があやしい場合もありましたが、

ちょっと指摘するだけで、すぐ治せるようになりました。

耳が悪かったわけではないからです。

そうして自信を取り戻し、

一緒にゴスペルを何年も楽しく歌えるようになりました。

 

 

5. まとめ

では、最後にまとめたいと思います。

 

彼の音痴の原因は何だったのか?

・2つの音の高い/低いは認識できた(=音感は持っていた)。

・自信のなさや不安から、音の高さを過剰に「思い込んで」いた。

・思い込みのあまり、フルスイングするように声帯のコントロールが効かなくなっていた。

・一度コントロールを失うと、その後も失い続けてしまった。

ここから導き出される答えは、

「自分の声をちゃんと認識できていなかった」ということです。

 

だから、自分の声を認識させる手伝いをしました。

・歌声を録音して、その場で聞かせる。

・録音した声とキーボードの正しい音を比較させる。

・正しい音とのずれを自覚させ、修正させていく。

・以上を繰り返す。

 

これで以上です。

今回の場合、大切なのは、

「自分の声を録音して、キーボードと比較する」

ということです。

これなら、一人でもすぐできますよね?

高いレッスンなどに通わなくてもできます。

 

事実、彼はこの後ゴスペルをしっかりとやり遂げ、

4年間ステージで歌い続けました。

 

もちろん人によっては全く違う原因の場合もあります。

ですが、こんなケースもあるんです。

 

音痴という、身近でとても嫌な問題。

本人にとっては深刻な問題。

まずはこのやり方で、お手軽にチャレンジしてみてからでも

遅くはないかと思います。

 

今回の記事によって

歌うことを楽しめる人がもっと増えたなら幸いです。

 

ここまで読んでくださり、どうもありがとうございました。

 

 

 

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