こんにちは、heyheyです。
ボイトレの先生や、カラオケの上手い人などに
「どうしたら歌が上手くなれますか?」と聞くと、
必ず返ってくる代表的な言葉がこれです。
「腹式呼吸を使って歌うんだよ♪」
この言葉に惑わされた人はいませんか?
おそらく、
「腹式呼吸ってそもそもなに?」
「腹式呼吸を使うってどういうこと?」
「お腹を使っているのに上手く歌えないよ?」
そんな疑問を抱えつつ、結局解決されないまま時を過ごしたのではないのでしょうか。
僕は日本の伝統芸能の一つである「詩吟」の準師範です。
全国大会の優勝経験もあります。
詩吟の経験は20年以上になり、それなりに腹式呼吸を使えるようになりました。
僕の実力に関しては、
こちらの音声配信で毎日話したり吟じたりしているので
一度聴いてもらえればよいかと思います。
こんな僕も
「腹式呼吸が使えるようになりたい!」
と思ってからそれなりに使えるようになるまで、
およそ10年の歳月を要してしまいました(涙)
そこで今回は、10年前の自分に出会えたなら
ぜひ教えてあげたい腹式呼吸の誤解について、ひとつ書きたいと思います。
ひとつとはいえ、一番基礎で大事なところなので、
きっと参考になると思います^^
腹式呼吸ができるようになると、自分の声が変わります。
声が変われば、人があなたに抱く印象が変わります。
「なんか明るくなったね」「声がハキハキするようになったね」
「聞き取りやすくなった!」「いい声だねー!」
すると周囲の環境が少し良くなり、あなたにも自信が芽生えるでしょう。
そんな腹式呼吸がスムーズに会得できるよう、
本記事を参考にしてもらえればと思います。
【注意】
・本記事の内容は、私の実体験や、教わってきた内容に基づいています。
・また、「過去の自分にどう伝えたらスムーズに理解できたか?」の視点で書いているため、専門用語を省いたり、噛み砕いたり、雑な表現することが多々ありますので(笑)、ご了承ください。
◇ ◇ ◇
目次
誤解:「腹式呼吸を使う」という言葉の意味
上手く歌えないとき、
声がすぐ枯れてしまうとき、
声が小さくて引っ込んでしまうとき、
歌える人から「もっと腹式呼吸を使って!」
と言われた経験はありませんか?
この「腹式呼吸を使う」という言葉には、
実は2つの意味が含まれています。
一つ目は「お腹を使って呼吸をすること」
二つ目は「その呼吸を使って声を出すこと」
一つ目は「呼吸」、二つ目は「発声」ということですね。
そんなの分ける必要ないでしょ!
と思われるかもしれませんが、意識するところが全然違うので
必ず分けて考える必要があります。
だから「腹式呼吸を使って!」という言葉には
「お腹を使ってしっかり息を吸って、その息を使って腹式の発声をして!」
ということを言っていることになります。
言葉をちょっとキレイにまとめすぎですよね笑
疑問1:「腹式で呼吸をする」ってどういうこと?
じゃあひとつずつ詳しく解説していきましょう。
「腹式で呼吸をする」ってどういうことでしょう?
呼吸とは言うまでもなく、「息を吸って吐く行為」のことです。
これを、お腹を使って行うのが「腹式で呼吸をする」ってことですね。
通常の方は、呼吸をするとき胸を使います。
息を吸うと胸が膨らみ、息を吐くと胸がしぼむ状態ですね。
これが「胸式呼吸」です。
一方、腹式呼吸ではお腹を使います。
この「お腹を使う」という言葉も抽象的で僕は嫌いなんですが(笑)、
正確には「丹田」を使います。
丹田とは、おへそと股間の中間に位置している部分です。
おへそからこぶし一個分、下の場所ですね。
息を吸うときは、丹田を膨らませます。
息を吐くときは、丹田をしぼませます。
これが、「腹式で呼吸をする」ということの正確な表現です。
この「丹田」という言葉、腹式呼吸では頻繁に出てきます。
とっっっっても重要な部位なんです!!
なぜなら、
・呼吸に関わる筋肉で、もっとも「体の奥」にある。
・身体の内側に動かせる筋肉がついている。
・身体の内側に動かせる「可動域」が広い。
からです。
実際に空気が入るのは肺ですが、
空気を肺へ引き込むのは横隔膜です。
この横隔膜をどうやったら最大限動かせるのか?
それがポイントです。
胸式呼吸では、胸を左右に大きく広げることで息は吸えますが、
しぼめることができません。
一方、丹田は横隔膜よりさらに奥(下の方)にあるので、
丹田を膨らませることで横隔膜を思いっきり下へと引っ張ることができます。
つまり、体の中に空気をたっぷり引き込むことができます。
僕の周りの歌や詩吟が本当に上手い方は、
丹田を使って息を吸うことで、
「腰回りの背中も膨らむようになる」と言っています。
これは誇張ではなく、実際にそうでした。
まだ慣れないうちは、
椅子に軽く腰かけて、少し猫背になって、
ゆーーっくり丹田を膨らませて、
先に背中の方から膨らませる意識を持つと良いです。
大事なのはイメージを持つことです!
目で見えない空気を、目で見えない部位を使って扱うのですから
イメージってとっても大切なんです。
ぜひとも想像しましょう!妄想しましょう!笑
息を吐く場合も同様です。
人間の身体を「空気タンク」とすると、
タンクの一番お尻の部分に当たるのが丹田です。
ここを押し込んであげれば、もちろん空気は口から強く吐き出されますよね。
胸式呼吸で息を吐く場合はそうはなりません。
タンクの中間に位置しているので、そこをしぼませても
あまり効率的に空気を圧縮できません。
そもそも「しぼませる筋肉」がありません。
だから吐くときは、
丹田を身体の内側にギューッと引き寄せるようにして、
思いっきりしぼませましょう。
「もう空気がでない・・・」って状態からさらに2~4拍、しぼってみましょう。
それが良いトレーニングになります。
以上をまとめると、
「腹式で呼吸をする」という言葉には、
「丹田を思いっきり膨らませて体の奥まで空気をたっぷり入れ、
丹田をギューッとしぼませて空気を圧縮して吐き出す」
という意味が込められています。
長い文章ですね。笑
でも、これが本当の意味なんです。
疑問2:「腹式で発声する」ってどういうこと?
呼吸のつぎは、発声について軽く解説します。
(というのも、腹式の発声とは「とっても高度な技術」だからです)
発声とは、言うまでもなく「声を出すこと」です。
じゃあどうしたら、吸い込んだ空気が声に変わるのか?
それは声帯です。
声帯で空気を音に変換しているんです。
空気が声帯を振動させ、その振動を身体のどこかに響かせて音になります。
身体のどこかというのは、頭や鼻、上あごや胸元などです。
(歌い方、音の高さ、表現の仕方によって響かせる場所や方法は異なります)
イメージとしては車のエンジンですね。
ガソリンと少しの電気があれば、エンジンはブルンブルンと起動しますよね。
空気と声帯の筋肉で、声帯が振動するのと同じ感じです。
(筋肉は最初だけ少し使うのがミソです!)
この状態で、アクセルを踏むと車が走り出しますよね。
声帯も同じで、響かせる位置を決めれば、歌声となって口から発せられます。
つまり、
「発声する」=「声帯を震わせる」+「体に響かせる」
ということになります。
じゃあ、「腹式で発声する」とはどういうことか?
それは、「丹田をできるだけ使って発声する」ということです。
とはいえ、丹田はあくまで「空気をコントロールする装置」なので、
それ自体が声を出せるわけではありません。
声帯は必ず使います。
でないと物理的に空気を音に変換できないので。
「喉を使うな!」
という先生が多いので勘違いされやすいのですが、正確には
「喉は極力リラックスして、空気のコントロールを丹田で行え!」
と言っているんです。笑
声帯はエンジンと同じ。
最初に起動だけしてくれれば十分なんです。
声を出すときの意識の比率でいうと、
喉 : 丹田 = 1 : 9
ぐらいです。
本当にちょびっとだけでいいんです。
振動さえしてくれたなら、あとは丹田を使って空気を自在に圧縮して、
喉から出してあげればいいんです。
喉から出た空気は、体のどこかにぶつけてあげましょう。
初心者の方なら、上あご(口の上半分のところ)にぶつけて、
そこから響きが抜けていくイメージを持つと、いい声が出やすいです。
高い音ならば、喉から垂直に上に引っ張って、
頭頂部からピンと抜けるように響かせるのもアリです。
とにかくダメなのは、喉に力が入っている状態。
わかりやすいのは、血管や筋肉のスジが浮き上がっている状態。
肩に力が入ってこわばっている状態も避けましょう。
力を入れるのは丹田だけで十分です。
正しくは、「丹田を内側にしぼませるように力を入れるだけ」で十分です。
これ以上先は、より専門的になってしまうので、
まずはこの辺でやめておきます。
◇ ◇ ◇
以上をまとめると、
「腹式呼吸を使って」という言葉には二つの意味があります。
・腹式で呼吸をする。
・腹式で発声する。
「腹式で呼吸をする」という言葉にも二つの意味があります。
・丹田を膨らませて空気をたっぷり取り入れる。
・丹田をしぼませて、取り入れた空気を圧縮させる。
「腹式で発声する」という言葉には二つのステップがあります。
・圧縮した空気とほんの少しだけ声帯の筋肉を使って声帯を震わせる。
・声帯の振動を身体のどこかにぶつけて響かせる。
こんな感じです。
これを一言でまとめることの方が酷いですよね!笑
10年前に知っていれば、もう少しスムーズに習得できたのになぁ・・・。
今回は以上です。
参考になりましたら幸いです。
なお、詩吟や発声方法については音声配信も行ってますので、
そちらも聴いていただけると嬉しいです!^^
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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