こんにちは、heyheyです。
大晦日ですね。
人生を振り返るには良い日です。
今日は、そんな時にこそおすすめしたい本をご紹介します^^
新渡戸稲造っていうと、旧5千円札の人ですね。
現在はあまり知られていないかもしれませんが、国際連盟の事務次長として日本の代表を務め、東京女子大学の初代学長にもなり、そして「武士道」という世界的ベストセラー本の著者でもあります。
一見とても堅苦しい本に見えますが、そんなことはありません。
「武士道」を読んだときは難解な漢字が多く、読むだけでも非常に大変でした。
しかし「修養」は同じ著者とは思えないほどにやさしく、ひらがなが多く、例え話も豊富で読みやすくなっています。
なぜなら、「武士道」は世界に向けて日本人の精神を紹介するものであったのに対し、「修養」は国内の、特に青年や婦人などの一般人に向けて書かれた本だからです。
とはいえ、書き分けるレベルの高さが尋常じゃありません。
著者もさることながら、内容もまた素晴らしい本です。
「これまでの人生で一番おすすめしたい本は?」
と聞かれたら、僕は迷わずこの本を紹介します。
少しボリュームがありますが、だからこそこの年末年始にじっくり読んでみてほしいです。
目次
1. どんな本なの?【激動の明治時代にまっとうな生き方を教えてくれる本】
「修養」は今から100年以上前、明治時代の日本で148回も重版された大ベストセラー本です。
明治とはまさに激動時代。
歴史の授業で学んだビッグニュースがずらりと並びます。
幕末、明治維新、東京誕生、国会開設、日清戦争、日露戦争。
変化が激しすぎて、「安定した未来」なんて見えない時代です。
変化の激しさで見れば、現在と似ているかもしれません。
そして、庶民の間では自己啓発が盛んになり、いろんな生き方が提案されました。
「国のために忠義を尽くすべき」
「もっと自由奔放に生きよう」
「山にこもって人里離れて過ごしたい」
「欲望に忠実に生きよう」
そんな時代背景において
「特別なスキルもない平凡な私たちは、こういう生き方が良いのではないでしょうか?」
と優しく丁寧に、そしてめちゃくちゃ謙虚に教えてくれるのがこの本です。
「修養」という生き方は広く受け入れられ、この本は明治44年から大正をまたいで昭和9年までの間に148回も重版されました。
▷ 人生について考えたい。
▷ 人生がふらついている気がする。
▷ 生き方の「軸」となるものが欲しい。
という人。
または
▷ 悪いことが重なっていてツラい。
▷ 良いことが続きすぎて逆に不安。
▷ 世渡りが苦手でツラい。
といった人に向けて書かれた内容となっています。
2. どんな内容なの?【実用的で実践的。嫌味皮肉を言い続けてくる人は殴るしかない!?】
「普通の人が人生をより良くするためにはどうしたら良いのか?」
この問いについて書かれた本です。
だから、高尚なことを言って実践されなければ意味がありません。
意外かもしれませんが、実用的で実践的な内容になっています。
特に衝撃的だった内容を一つご紹介します。
「(中略)かかる嫌味皮肉に対しては、議論でどうすることもできぬ。正々堂々と議論すればするほど、ますます冷やかされる。この場合に取るべき手段は、自分の意思を身体の上に発表するより良策はないと思う。すなわち殴るが良いと思う。」
読んでいて驚きました。
写真でも文章でも優しそうな人柄からは想像ができない(笑)
でも実際、いかに心を養ったとしても、聖人君子でもない平凡な僕たちにはこうするしかないんでしょうね。
念のため補足しておくと、この文章にはちゃんと前置きがあります。
・夢に向かって継続したいことがあれば、正面からちゃんと説明しよう。
・良心から「無理しない方がいいよ」と止めてくる人もいるが、距離を置くのも大切。
・それでも嫌味を直接言ってくる人がいれば、もう殴るしかない。
このように、「在るべき姿」と同時に「現実的にできること」を教えてくれるのがこの本の素敵なところです。
3. どんな特徴があるの?【偉人の名言、ことわざ、俳句など引用が膨大】
この本の大きな特徴として「引用が膨大である」ことがあります。
新渡戸稲造が超絶的な読書家だったからですが、
(学生時代に学校の図書館の本を全て読破した経歴あり)
それにしても、知識量が尋常ではありません。
ちょっとした教訓も、必ず誰かの引用がセットで紹介されます。
事例を2つご紹介しますね。
※教訓の文章は僕の意訳です。
【事例1】
教訓:非常時に慌てることなく冷静に動けるのは、平常時にコツコツ積み重ねたからである。
引用:「かかるとき さこそ命の惜しからめ かねてなき身と 思ひ捨てずば / 太田道灌」(日頃から身を捨てる覚悟があればこそ、いよいよという時に心が迷わない、という意味)
【事例2】
教訓:世の中を知るためには汚いことも知らなくてはいけないなんて、青年には不要である。大切なことを真っ当なところから学ぶべき。
引用:「人は知らなくとも善いことを知り、知らねばならぬものをかえって知らぬ / ゲーテ『ファウスト』」
ここでは分かりやすく「教訓」と「引用」で分けて書いていますが、原文は流れるような美しい日本語のなかで引用されています。
当たり前の教訓でも、このように引用が膨大だと、説得力が違いますよね。
4. すぐに役立つ内容もある【継続力の鍛錬、瞑想のススメ】
人生に役立つ内容が盛りだくさんですが、
すぐに役立つ内容もあります。
①継続力について
人生をより良くするには「継続力」が欠かせないと何度も書かれています。
どうしたら継続できるようになるのか?
このテーマを第四章でたっぷり取り扱っています。
・発心はたやすく継続は難い。
・疑いが起こってもますます進め。
・発心の継続には発心を記憶せよ。
・克己に過ぎて精力を消費すな。
などなど、多くの事例をもとに役立つ考え方が書かれています。
②瞑想のススメ
マインドフルネスなどで流行りつつある瞑想ですが、
100年も前からその重要性について説いています。
この本では瞑想ではなく「黙思」と書いていますが
「黙って目をつむり、精神を落ち着かせること」という点ではほぼ同じかと思います。
第14章を全て使ってたっぷり書かれています。
・一日五分間なりとも黙思したい。
・精神的食物として黙思は必要。
・黙思に必要な場所、時間、佇まい。
などなど今にも活きる内容が満載です。
5. おわりに
「修養」は100年以上前に大衆の間で長く読まれてきたベストセラー本です。
激動の今でも役に立つ内容がたくさん書かれています。
内容もさることながら、その流れるような文章を一度は読んでみても損は無いかと思います。
ただし、100年も前ということで、価値観が違う内容もいくつかあります。
技術レベルも劇的に変わったから仕方のないことです。
だから、「この部分は役に立たないから、この本も意味がない」とは決して思わないでください。
100年経っても変わらない価値観がこの本には必ずあります
時代に合わないところはスルーして、役に立つところだけ受け取ってもらえれば幸いです。
それでも十分すぎる内容だと思うので。
今回は「これまでの人生で一番おすすめしたい本」として『修養/新渡戸稲造』をご紹介しました。
人生の軸となりうる本なので、決して短時間で読める本ではありません。
だからこそ、この年末年始にじっくりと読んでみてはいかがでしょうか?
ここまで読んで頂きありがとうございました。
では良いお年を。
2020.12.31 heyhey